愛宕山

  • 2017.09.20 Wednesday
  • 21:49

「分かち合う」なんてクソくらえ。

 そんな私は『ちりとてちん』原理主義者。

 

100作近くなって、それだけの伝統(女の一代記、ホームドラマ、明るくさわやかな

雰囲気)を守り続けたうえで、時代に合った新しい工夫を加味してきたからこその

楽しみがある。もはや朝ドラは古典芸能のひとつと言っていい。……いま、『みなさま』の

朝ドラに求められているのは、視聴者がそこに“自分が生きている時代との共通点”を

見出せるか、自分と関係ある話題が描かれていると思えるか、自分の姿を重ね合わせたり

共感できたりする話題があるか、である」。

 

 シングルマザーをヒロインに据えた『私の青空』が放送された2000年、母子家庭の

世帯数は100万の大台に近づいていた。国際結婚が日本人の婚姻の3パーセント強を

占める現代、2014年の『マッサン』は史上初めて外国人を主役に抜擢した。女性の

生涯未婚率が14パーセントにも達する2016年の主人公は、表題通り「とと(父)」の

役割を自ら引き受け、家族を養い、独身を貫いた。

 たぶん筆者のやりたかっただろうテーマは、いみじくも家父長制下の「内助の功」を

旨とする『おしん』を出発点として、現代に至る朝ドラが映し出す女性像の変遷。

 ただし、そうした背景は、マクラとしての各種白書でも引用すれば足りてしまう。

 なにせ半年の長丁場ともなれば、抽象的な同時代女性を超えた具体的なキャラクターが

浮かび上がり、どうにもパーソナル・ヒストリー性が強調されざるを得ない。

 ということで、実際のところ、本書がやっていることといえば、いかなる基準にしたがって

選ばれたのかも分からない歴代朝ドラ11篇のあらすじと、脚本家二名へのインタビュー。

それぞれのストーリーに重点を置いている都合上、どうしてもテーマ史的な議論は散漫な

印象になってしまう。個々の分析にしても、あいにく感想文の域を出ない。「男性が強がって、

意地を張れば張るほど、哀切の情が湧く」描写をつかこうへいの専売特許であるかのように

語るのだが、書き手本人からの言質を得ているわけでもなく、設定やセリフ回しが被っている

といった指摘もなく、勝新太郎や車寅次郎を典型に、よくあるキャラとしか私には思えない。

他作品の言及は、単に筆者の個人的な視聴データベースから引用しているに過ぎず、

そこにさしたる日本エンタメ史的必然性は感じられない。例えばアイテムが同じ俳優の

出演している作品へのオマージュになっている、とかそういう理屈があればいいのだが。

 結局、本書は終始、『わたしの朝ドラ』の域を出ない。

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  • 2018.05.29 Tuesday
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