ブレイキング・バッド

  • 2018.04.20 Friday
  • 23:01

「私たちは薬効範囲の広い抗生物質なしに、いかにして病気を治すことが出来るだろうか?

あるいは、出来るだけ農薬を使わずに作物をいかに守ったら良いのだろうか? この本は、

私がこうした質問に答えようとするものである。……幸いなことに、独創的な戦術が生まれ

つつある。遺伝子操作のような21世紀の科学はもちろん、便の移植のような古代の習慣が、

必要性と技術の進歩によって新たに導入されている。多くの戦略は、古い時代の敵に

対する私たちの最良の味方として自然から借りてくることが出来る。細菌に感染して、これらを

殺すウィルスがある。ある作物は植物病原体を防ぐ健康な微生物群を作り出す。私たちが

持っている自然の防御システムを、より良く刺激するように遺伝子組み換えされたワクチンが

あり、近縁の植物から借りてきた遺伝子で病気に抵抗性のあるように遺伝子組み換えされた

作物がある。昆虫フェロモン――自然にある極めて特異な化学物質――を放出することに

よって、幼虫が果実や木の実を害する蛾の、、成虫の性的行動を誤らせることが出来る。

そして、ある細菌は新しい種類の選択性の高い抗微生物剤――病原体を殺すが私たちの

腸内の微生物群は損なわない――を提供する。数千ではないにしても、数百の楽観的な

戦略がある。私は、そのうちから一握りを選んでここに紹介したい」。

 

 本書の原題はNatural Defense

 農薬批判、抗生物質糾弾、と聞けば、少なからぬ者は辟易とするのかもしれない。また例の

度の過ぎた自然礼賛、民間療法布教の反科学オカルトものか、と。

 本書はそれらとは完全に一線を画す。叩かれるべき科学があるとすれば、テロリストを

掃討すべく無差別爆撃を繰り返すがごとき火力の過剰を制御できない手法に過ぎない。

本書のスタンスは、排除や駆逐ではなく、共存を目指す。それもあくまで科学を通じて。

副作用の甚大な投薬治療ではなく、ワクチンとDNAのコネクトで自身に眠るポテンシャルを

引き出す。抗生物質の投与を全否定するわけではない、ただし診察の精度を上げることで

その濫用を防ぐことはできる。

 それらを可能にしてくれるのが自然科学だ。

 

 ただし、肝となるべきその科学アプローチにさしたる目新しさを覚えない、というのは

少しばかり疑問を呈さざるを得ない。腸内の微生物環境を整えるために、健全な大便を

植えつける。遺伝子組み換え作物を導入する。農業の現場にITを組み込む――細部は

ともかくも、紹介される技術それ自体は多くの人々がいずれかの媒体で既に目にしたことの

あるだろうような話ばかり。斬新さに飛びつけばTheranosのような詐欺に引っかかりかねず、

慎重を期してエビデンスを求めればこうなるのもやむを得ないのかもしれないが。

 

 反知性に抗いうるのは知性だけ。

 この一点において、世界は何らの例外をも持たない。

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  • 2018.12.14 Friday
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