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    「もっと歯車を!」

    • 2018.04.24 Tuesday
    • 23:07

    1901年に、海底に沈む難破船から発見されたこの破片は、古代文明の遺物としては

    まさに驚異的である。私たちがこれまで理解してきた古代ギリシアのいかなる技術に

    照らしても、存在するはずがない物なのだ。その精密さに匹敵する品は、千年以上あとの

    ルネサンス期ヨーロッパの天文時計まで待たないと出ていない。……この機械はなにを

    するためのものなのか。いったい誰がこれを作り上げたのか。そしてこれほど高度な技術が

    生まれながら、なぜこれほど長いあいだ歴史の中で埋もれていたのか。1901年以後、

    何人もの人びとがこの機械の仕組みを解明し、これらの疑問に答えを出すことに人生を

    かけた。いったん謎にとり憑かれると、誰もが目をそらせられなくなった。彼らの多くは

    解明しきれないまま世を去った。同時に誰もが謎の一部をつきとめた。この本は、

    その人びとの物語である」。

     

     20世紀の幕開けを告げるように、「アンティキテラの機械」の発見を可能にしたのは

    技術だった。素潜りで到達できて、かつ何かを収穫できる限界といえば水深30メートル、

    ところがヘルメット式潜水服の発明によって限界は70メートルにまで押し広げられた。

    最終的にはギリシア政府を巻き込んだプロジェクトに発展するも、そもそものきっかけは

    技術開発と海賊的野心の融合だった。

     研究の進展は技術の発達に同期するようにもたらされた。「機械」の解明をリードした

    科学史家D.プライスは、自らの名を配したひとつの仮説を立てた。曰く、「科学者の成果を

    記録するページ数は、時代とともに同じ増加率で指数曲線を描」く。

     なるほどX線の撮影手法など、まるで「プライスの法則」を実証しにかかるかのように、

    技術は「機械」をめぐる謎の究明に力を添えた。

     

     ただし皮肉にも、そうして露わになった真相は彼の法則を裏切った。技術においても、

    知識においても、「機械」は時代からはあまりにも傑出していた。

    「月の満ち欠け、惑星の出と入り、そしてとりわけ食はいずれも王とその国家の幸不幸に

    かかわる啓示をふくんでい」る、そう考えられていた時代に天体運動を計算してみせた

    「古代ギリシアのコンピュータ」は、ただし神を機械仕掛けへ置換するには至らなかった。

     プライスの願望とは裏腹に、世界は情報の蓄積による線形的な発展を辿らなかった。

    「アンティキテラの機械を見ると、私たちも訊ねたくなる。なぜ時計を作らなかったの

    だろう。何世紀ものちに、ヨーロッパではこうしたテクノロジーが産業革命を呼び起こし、

    オートメーションの現代社会へ道を開いた。ギリシアで同じことが起きなかったのは、

    なぜだろう」。

     知識のインプットだけでは足りない何か、あるいはそれは未来の人工知能をなおも

    人間が凌駕していくほんのわずかな可能性に通じているのかもしれない。

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    • 2018.05.29 Tuesday
    • 23:07
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