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    「由らしむべし、知らしむべからず」

    • 2018.05.10 Thursday
    • 23:12

    「日本の財政はもはやほとんど破綻しているのであって、いかなる目標を掲げようが、

    いかに歳出を削ろうが、どれほど増税しようが、再建は覚束ないというのが現実である。

     なぜこのような惨憺たる状態に立ち至ったのか。その原因は数かず指摘されている。

    なかでも本書が注目するのは『タックス・イーター』(tax eater)の存在である。国民の税金を

    食い荒らし、日本経済の屋台骨を蝕むタックス・イーターの悪行を明るみに出す。それが

    本書の目的である。

     『税は文明の対価である』という。アメリカの最高裁判事、オリバー・ウェンデル・

    ホームズ・ジュニアの言葉である。……『税は文明の対価である』というならば、税を

    納める者にはその対価としての文明が引き渡されなくてはならない。ところが、タックス・

    イーターは日本の政治と経済の隅々に至るまで網の目を張り巡らし、法を逆手に取りながら、

    我々の見えないところでその『文明』を破壊しているのである。その悪行を看過するかぎり、

    我々の納める税が文明に生かされていくことはなく、我々に対価として引き渡されることも

    ないであろう。まずその事実を知るところから始めなくてはならないのである」。

     

     とりあえず前提として確認しておかねばならないのは、筆者が大蔵・財務省OBであると

    いう点である。そうした立場に基づく責任逃れの匂いをどうにも指摘せざるを得ない。

     筆者曰く、政官業の「『鉄のトライアングル』の形成によって、霞が関の官僚群でも

    頭一つ抜き出していたはずの大蔵省は財政をコントロールする力を失っていった。……

    鉄のトライアングルはそうした大蔵支配の体系への抵抗勢力でもあったのである」。

     今日のガバナンスなきガバメント問題とまるで同じ、「コントロールする力を失って」

    いたのがたとえ事実だとしても、「コントロールする力」を行使すべき立場の者が不能に

    陥っていたこと、もしくは不作為を犯したこと、それ自体が問題なのだ。

     80年代バブルの沸騰も、筆者に言わせれば、偏にあくまで時の通産省に責任がある。

    「緊急経済対策が決定されると、その内容には6兆円規模の真水の財政措置が含まれて

    いた。……大蔵省は大臣官房、主計局を筆頭に全省あげて阻止を図ったが、田村元通産

    大臣を陣頭に立てた通産省がこれを押し切った。……バブルの引き金は、かくして引かれた。

    ガイアツに屈し、財政の苦しさから金融政策にツケをまわしつづけてマネー・サプライを

    増加させた大蔵省の責任の上に、通産省の手柄ほしさの緊急経済対策による6兆円の

    財政支出が火をつけて、バブルは起きたのである」。

     この精神性、必ずや太平洋戦争を想起させずにはいない。

     

     その上でなお本書に参照に値するものがあるとすればそれは、「税金について知るのは、

    国民の“義務”である」との筆者のその言にある。

     もちろんこのことばを無効化するような最高裁の判例が横たわるには違いない。何せ

    やつらに言わせれば「源泉徴収義務者が間に入る場合、国と納税義務者(税を実際に

    負担する担税者)との間には、直接の法律関係は存在しない」以上、「源泉徴収の課税

    法律関係で何らかの紛争が生じたとしても、国との間では法律上の関係はないのである

    から、納税義務者(担税者)は国を相手に訴えを提起することはできない」のだから。

     いくら知ったところで現状、源泉徴収をめぐり国に何か異議申し立てをすることは

    できない。法改正や判例変更の望みも薄い。

     しかしそんな政府、三権を支持しているのは事実、国民なのだ。

     

     誰かのせいということは自分のせいではないというに等しい、みんなのせいということは

    誰のせいでもないというに等しい、そんな危うい論法の上に立ちながら。

    「読者にまず知ってほしいのは、真の起源は国民の無関心の中にある、ということである。

    したがって、タックス・イーターの問題を解決するためには、その悪事を知るだけでは

    足りない。納税者の『義務』として、国民一人ひとりが、日本の税制と財政の理解に

    努めなくてはならないのである」。

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    • 23:12
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