「ない仕事」の作り方

  • 2018.10.15 Monday
  • 23:55

「ぼくが無数のコレクション遍歴をたどってきた果てにたどり着いたのは、エアコレクターの

境地だった。

 何も集めないコレクター。溜め込むことからの解放。

 冒頭にも書いたように、古本に興味を持った中学時代から、古本屋という商売には

憧れがあった。だけど、それは単に『一日中、古本に触っていられる』とか、『暇そうだ』とか、

そんな程度の理由でしかない。

 ところが、エアコレクターという概念を発見し、そこであらためて古本屋を商売にする

ことを思いついた時の衝撃は忘れられない。

 それはすなわち『永久機関』の発明にも等しかった。

 溜め込むことさえしなければ、永遠に本を買い続けることができる!」。

 

「集める行為が好きなだけで、集まったものには興味が向かないのだ」。

 本書の大部分を占める蒐集家論というのは、概ねこの一言で説明がついてしまう。

 モノではなく、コト。

 そして、このプロセスの興奮を外部に向けて発信、伝達するというのはひどく難しい、

本書を読んでつくづく感じる。筆者のコレクター遍歴を自ら辿り綴っていくのだが、

皮肉にもそれはモノの履歴に終始してしまい、コトの歓喜を呼び覚ますには至らない。

 他人にどう映っているかが分かっていない、典型的なオタクのありさまを反転させて、

顧客層にどう見えるかをコントロールする市場向けパッケージングに精通すれば、

それはそれで、サブカルなる語の定義ってつまりみうらじゅんの集金活動でしょ、という

例の白々しさに終始せざるを得ない。

 

 その上で虚をつかれるのは、マニタ書房開業までの過程――いみじくもコト――を

凝縮した1章の重厚感にある。

20121027日、ぼくは古本屋をはじめた」。

 この日付、亡き伴侶の一周忌でもある。開業資金は妻の死亡保険金だった。

「死んだ妻が、ぼくの夢を叶えてくれたのだ」。

 そして奇しくも始動から6年を迎える2018年のこの日、店を構える古本の聖地・神保町で

ブック・フェスティバルがはじまる。

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  • 2018.11.08 Thursday
  • 23:55
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