土曜の昼、午後3時

  • 2018.11.18 Sunday
  • 20:11

人間特有の悩みっていうのを、数週間だけ消しちゃうって楽しそうじゃない? 

まさに、今その時だけを生きるんだよ。自分がしでかしちゃったことを悩んだりとか、

自分が何をすべきかなんてことに頭を痛めるなんて、ヤメだ。……人間をお休み

しちゃうってどうだろう? 人間の世界のややこしい物事から逃げて、本当に必要な

ものだけで生きていく。文明の罠に陥ることや、複雑なものごとはすべて捨てちまえ。

地球上を軽やかに歩き回るんだ。血まみれの苦しみなんて、おさらばだ。

地球上の緑の植物から、喜びとともに栄養を得るんだ。身近な環境に同化し、

少しの草を食べ、地面で寝る、それだけでいいじゃん? 山々を移動し続けること、

それは自由だ! 少しの間、動物になれたら、すごくない?」(太字は原文ママ)。

 

 ということで、『ゼロからトースターを作ってみた結果』に続く、バカのふりして

やってみたシリーズ第2弾。そして例によって、専門家にヤギになるべくお伺いを

立てて回る。そして結果、何も考えないというスタンスとはおよそ対照的な、

動物行動学、生理学の研究知見が浮上する。

 

 少しだけ筆者に倣い、近場の公園の動物コーナーで、ヤギを観察してみる。

 モルモットを膝に抱えての餌やり体験――食欲のない口に野菜がねじ込まれる

プチ地獄絵図――、ポニーの乗馬体験――抽選に外れたちびっこが泣きじゃくり、

それにつられて他も泣き出す阿鼻叫喚――に小さな野獣と飼い主が列をなす中、

間に挟まれたヤギブースは人気も疎ら。我関せずとシエスタを貪り楽しむように

5匹揃って寝そべっているだけなのだから無理もない。

 見どころないな、と思いつつ、とりあえず観察してみる。三白眼の呪い殺されそうな

顔立ちを想像していたけれど、あれ、案外かわいい。なるほど寝ていてくれると、

「後ろ脚の膝のあたりにある関節は、実際のところ踵なのだ」ということがよく分かる。

 たったひとりの観客向けのサービスか、徐に重役出勤を開始。

 二足歩行の練習か、スタンドアップのデモンストレーションを見せてくれる。

「人間である我々が広く手足を、特に足を制御している一方で、ヤギによる制御と

筋肉はすべて前半身に集中していて、弾力性のみを後半身が司っています」。

 ほんとかな?

 その賢さを示すエピソードが紹介される。

「ヤギが差し錠を動かして、囲いから出る方法を学んでしまった」。

 ほんとっぽい。

「常にケンカをして奪い合いになることを避けるための方法が、厳格な序列だ。……

頭突き、頭突き、ドーン! ガツン! ってわけじゃない」。

 ほんとかな?

野生のヤギは、家畜化された最初の動物となった……世代を重ねるうちに、

捕らえられた野生のヤギが徐々に、遺伝子的にも人間を怖れなくなり、人間に対して

攻撃的でなくなっていった。……〔家畜化が進むと〕一般的に、角と歯が小さくなり、

体格が貧弱になり、顔がより平らになり、耳が柔らかく垂れるようになる傾向があって、

成長したヤギでも子ヤギのような振る舞いをするようになる」。

 たぶん、ほんと。他人様にカメラを向けるのは失礼なので撮ってはいないけれども、

私のこの日のハイライト。掃除のためにスタッフの方がブースの中に入ろうとすると、

ヤギがその青年を囲むように集まってくる。どう見ても、慕っている、という以外に

この光景にキャプションをつけることは難しい。群れの姐御に違いない白いヤギの

腹を撫でている様子を他がじっと眺めている。

 よく晴れた土曜の昼下がりの公園で、ほとんど宗教画のような。

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  • 2018.12.14 Friday
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