Go! Go! Heaven

  • 2019.09.26 Thursday
  • 05:51

「人々が情報を求める検索は、それ自体が情報なのである。人々が何かの事実、

発言、ジョーク、場所、人物、物事、あるいはヘルプについて検索するとき、

それは彼らの本当の考え、望み、あるいは恐れについて、どんな推測よりも

正確に明かすものとなる。人々が時に何かを調べるというよりむしろ告白する

かのようにグーグルを利用するのは――『上司が嫌いだ』、『私はアルコール

依存症だ』、『父に虐待された』など――まさにその好例だ。……本書の目的の

一つは、ビッグデータを使って何ができるのかを立証し、ますます膨れ上がる

干し草の山から情報を見つけ出す方法を示すことだ。本書を通じて、ビッグデータが

人間の心理と行動についての新たな洞察をもたらす実例にふんだんに接し、

本当に革命的なことが進行中なのだと察してもらえればうれしい」。

 

 筆者が自負するに、「本書は実際、強化版『ヤバい経済学』だ」。

 とはいえ、2.03.0といえるほどのアップデートが果たされているわけではない。

S.レーヴィットの衝撃から10余年、グーグル・トレンドをはじめ、多少のツールこそ

組み込まれど、基本的なアプローチについては何らの更新も見られないのだから。

「人の言葉を信じるな、行動を信じろ」。

 なるほど確かにこの現代の懺悔室は何もかもお見通しのようだ。

 それは例えば2016年の合衆国大統領選、世論調査に基づくメディア予想は軒並み

ビルの妻の優勢を報じていた。ところが、激戦区における検索結果が伝えるに、

「トランプ クリントン」との入力は「クリントン トランプ」を大幅に上回る

ものだった、人の常として、比較検討の際には自らの推したい側を頭に持ってくる。

 さらに検索はこの行動の背景すらも反映してみせる。州単位で相関性の高い

ファクターを検討すると、経済政策でも、プロチョイスでも、銃規制でもなく、

否応なしにひとつの争点が浮上した。

「トランプ支持が最も強かった地域は、『ニガー』という語を最もよく検索していた

地域だったのだ」。

 共和党への逆風の中でさえ苦戦を重ねたオバマへの投票行動もまた同じ、

誰よりも雄弁に説明できたのは唯一、「デジタル自白薬」だけだった。

「人々はしばしば嘘をつく。他人に対しても、そして自分自身に対しても」。

 

「データは、怒れる人々に説教をすると彼らの怒りはかえって燃え盛ることを

示唆している」。

 オバマが例の口調でムスリームへの寛容を解くほどに反発はむしろ広がる。

グーグル様はご存知だ、人々が演説を受けて「イスラム教徒」に続けて検索を

かけたのは、「テロリスト」、「原理主義者」といったヘイトの用語であることを。

 そこで筆者は提示する。「人々の好奇心を微妙に刺激してやり、新たな情報を

提示し、怒りの種だった人々についての新たなイメージを与えてやると、

彼らの怒りと思考をもっと建設的な方向へと変えられるかもしれない」。

 そして事実、教条主義を一時停止して、米国におけるムスリーム・アスリートに

ついて言及した大統領の演説の直後、検索が告げるに「イスラム教徒」への

フォビアは低落した。

 ただしそれはかりそめの姿。グーグルがM.アリやK.アブドゥル=ジャバーを

束の間思い出させたところで、しばらくすれば、怒れる自己は復旧される。

 だから私は提示する。これからの世界が目指すべきは彼らをウェルメイドに、

セクシーに仕向けることではない。データセットは既に取れた。ゆりかごから

墓場まで、すべての挙動は造作もなく再生できる。スマホを持ったサルの用は

既に済んだ。単調な消費プロトコルに動員されることしか能のない害獣を

アナログからデジタルへと移行するときは既に来た。

 計算可能、つまり、計算不要、存在不要。

 全知全能の神の寵愛に満ちた楽園は唯一、コンピュータの中に広がる。

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  • 2019.09.27 Friday
  • 05:51
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