「民の言葉を天の声とせよ」

  • 2017.04.13 Thursday
  • 20:32

「白血病で死んだと聞いて、そうか、奴は原稿という血を流して死んでいったのだと

思いましたね」「神様がこのような書き手をふっと地上に寄越して、そしてさっと天に

召し上げた」。死者には勝てない。46の若さで夭逝した稀代のコラムニストに思うこと

▼社の垣根を越え、誰しもがその資質に一目置いた。単にノスタルジアの産物とも

片づけ難い。以下にその証明の一例を引く。「彼は、現在の経済繁栄の空虚さと

道義の退廃を怒り『凡庸な平和』をののしってきた。彼の指摘してきた事実が、

われわれの社会に存在することを認めよう。しかし、それを解決する道が彼の実行した

直接行動主義でないことを、歴史はくり返し、われわれに教えつづけてきたのでは

なかったか。民主主義とは、文士劇のもてあそぶ舞台ではない」▼三島由紀夫の

自決を受けた朝日社説。ペンは剣よりも強し。ジャーナリズムの、民主主義の矜持が

滲む。執筆者は本書の主役、深代惇郎▼その足跡を辿る試みは、同時代の新聞を

映さずにいない。警察署内の記者クラブ、暇つぶしの賭け事に勤しむ連中をよそに、

彼はひとりソファに寝そべり読書にふける▼培われた教養は必ずや「天声人語」に

反映される。「権力に狂奔し、怨霊におののく」斑鳩の世を法隆寺の歩みに透かす。

「聖徳太子という日本史で稀有な理想主義的政治家の悲劇」が奇しくも氏の絶筆と

なった▼一点だけ、あえて苦言を呈そう。22ページ、「深代淳郎」、これはいけない。

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  • 2017.11.16 Thursday
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